飲みの席で、私は一度も嘘を吐いたことがない、という嘘を吐いた。

何故その嘘を吐いたのか分からない。酔った勢い・無意識に出てしまったのか・見栄を張りたかったのか。どの理由にしても恰好がつかないことは、素面に戻った私からしてみれば明白であった。

20数年そこら生きてきて分かったことだが、この世は嘘に溢れている。

人を騙す為に吐く嘘から、人を笑わせる為に吐く嘘、意味もなく吐く嘘まで、人は嘘と共に生きているといっても過言ではない。

かくいう私も嘘と共存している人間で、相手を傷つけない為に嘘を吐くし、相手を笑わせる為なら在りもしない嘘を交えて笑わせる。

嘘というのは人以外にも溢れかえっている。深海に住むチョウチンアンコウは頭の先から吊るした光る球体で魚をおびき寄せ捕食をするし、ハナカマキリは花に擬態して近寄ってきた虫を掠め取り食べる。この地球に住む動物は、つまりは生きる為に嘘を吐いているのかもしれない。

 

 

・・・。書き出し気に入ったんだけどな。嘘を交えたオチが思いつかない。

以上、酔った男の戯言でした。