すれ違った

仕事を終え、駅へと向かう帰り道で、黄色いヘルメットを被った少年とすれ違った。傘を剣に見立てて歩く少年に、私は顔を綻ばせていると、今度は制服姿の高校生らしき青年とすれ違った。私の横を走っていくさまに、青春のような何かを感じた。すると次は、背広を着た男が携帯を片手に、なにかを謝りながら全速力で走り、私の横をすれ違った。同じサラリーマンとして彼にエールを送りつつ、横断歩道が青に変わるのを待つ間、なんとなく、今の道を振り返った。少年の横には母親がいて、高校生の少し前には同じ制服を着た女の子が歩いていた。社会人が話していた電話の相手は彼女だったのかもしれない。みな愛する誰かがいるのだなと分かった私は、青になった横断歩道を渡らず、近くにあったケーキ屋のドアを開ける。どれを買ったら妻は喜んでくれるだろうか。

 

 

 

・・・ケーキ屋のドアを開けたところまでは実話ですが、その後は創作です。みんな愛する人がいるんだ~;;悲しいからケーキでも食べちゃお~;;って気持ちでケーキを買いに行きました いいかげん新しい恋しなきゃですね